2000/3/7
千葉県知事 沼田 武 様
恩寵園卒園生 有志
要 請 書
私たち恩寵園の卒園生は、長い間、大濱浩園長から虐待を受け続けながら、生活して来ました。殴る・蹴るの暴力や脅迫を受け続けながらも、わたしたちをかばってくれる職員や施設で一緒に暮らす兄弟・姉妹のような仲間と一緒だったからこそ、耐えてこられたのだと思います。
私たちの仲間の中には、4年前に園を脱出して児童相談所などに「園長先生を辞めさせてほしい」とお願いした人もいました。でも、一部の大人を除いては、ほとんどの大人が私たちの必死の訴えを無視しました。
今回、恩寵園の理事会が休園することを決定したと聞いて、真っ先に頭に浮かんだのは、「今回も4年前と同様に、どうせ誰に言っても変わらない」のではないかということでした。
しかし、現在恩寵園で暮らすこどもの中には、私たちの弟や妹がいます。恩寵園が休園することになれば、一緒に暮らす仲間とも、学校の友達とも別れなければなりません。子どもには安心して落ち着ける場所こそ必要なのに、弟や妹たちは、「恩寵園を出ていくことになる」と聞いて、不安にかられています。
私たちは、自分が味わったような寂しさを、弟や妹を始めとして、今恩寵園にいる子ども達には味あわせたくありません。恩寵園を休園・廃園するのではなく、これまで私たちに間違った接し方をしてきた大人には謝ってもらい、新しい恩寵園として生まれ変わって欲しいのです。
私たち卒園生の多くは、恩寵園でのいい思い出がないから、卒園後、一度も恩寵園に遊びに行ったことがありません。それでも、みんなと過ごしたあの家がなくなることはやっぱり寂しいし、絶対に受け入れることはできません。恩寵園が生まれ変わって、こどもを大切にする施設になったら、ぜひとも自分のふるさととして訪れるつもりです。虐待を受けながらも、それに耐え、わたしたちが仲間と共に育った場所なのですから。
大人だけで、すべて決めてしまうのではなく、私たち卒園生と、今恩寵園にいる子どもたちの意見も十分に聞いて下さい。そして、恩寵園を廃止するのではなく、子ども達にとって楽しい、安全な場所に生まれ変わることを要請いたします。
- 大人が勝手に恩寵園の休園を決めるのではなく、子どもの声を聞いて
ください。
- 休園には反対です。新しい理事会と園長のもとでの、恩寵園の生まれ変わりを要請します。
- 私たち、恩寵園の卒園生と在園生に、千葉県知事及び千葉県職員は謝罪して下さい。
|