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2000年5月27日
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from 2001/8/12

恩寵園の園児の権利に関する宣誓


(前文)
 人間社会におけるすべての人は、人権、皮膚の色、思想、信条、出生、宗教、心身の障害、国籍、門地、財産などによるいかなる差別を受けることなく、すべての権利及び自由を享有する。
 恩寵園の園児は、人権の完全かつ調和のとれた発達のために幸福、愛情及び理解ある雰囲気のなかで養育され、また社会において個人として生活し、その責任を十分に果たすことができるようになるための準備として平和、尊厳、寛容、自由、博愛及び連帯の精神に従って育成されるべきであり、自らも尊敬される社会人となるため積極的に努力しなければならない。
 園児の処遇と保護及び調和のとれた発達のため、園児の生活条件はすべての面において常に改善されることが重要であることを確認し、恩寵園は以下のとおり定め、これを遵守することを宣言する。

平成12年5月27日


第1条(定義)
 園児とは、児童福祉法に基づき千葉県により社会福祉法人恩寵園が設置経営する児童養護施設恩寵園(以下園という)に措置された児童をいう。

第2条(権利と自由に関する権利)
  1. 園児は、身体、生命につき何人も侵すことのできない固有の権利を有し、園児自身及び園児の父母、法令で定める、保護者(以下父母らという)の性、人権、皮膚の色、思想、信条宗教、出生、心身の障害、国籍、門地、財産などに関わりなく、以下に定める権利と自由を有する。
  2. 園児の権利と自由は、法令、公序良俗、施設の安全と運営、心身の安全と健康、他の園児の権利と自由に反しない限度において認められ、尊重される。

第3条(園児処遇の原則)
  1. 園は、園児に対し常に最善かつ適切な処遇をする。
  2. 園は、園児の父母らの園児に対する権利と義務を尊重しながら、園児の福祉を確保するために必要な保護を養護を行う。
  3. 園児の処遇、健康、安全を確保するため、施設、設備、役務の提供は法令に定める基準に適合しなければならない。

第4条(思想、良心、信条、宗教の自由)
  1. 園児は、思想、良心、信条、宗教の自由を有する。
  2. 園児は、自己の意思に反して宗教あるいは特定の思想、信条に基づく祝典、儀式または行事に参加することを強制されない。
  3. 園は、1に関して父母らが園児に対し園児の能力、発達段階に応じた指示、指導、助言を与える権利と義務があることを認め、これを尊重する。

第5条(集会、結社、表現、言論の自由、通信の秘密)
 
  1. 園児は、集会、結社、表現、言論の自由を有し、園の内外からあらゆる情報、資料を求めることができ、園はこれを援助する。
  2. 園は、園児の通信の秘密を保証する。

第6条(私生活、名誉及び信用の保護)
  1. 園児は、正当な理由なくして私生活を干渉されない。
  2. 園は、園児の名誉と信用を保護する。

第7条(園児の権利と自由の実現)
 園は、園児の権利と自由の実現のため、必要なあらゆる措置を講ずる。必要があれば、行政機関、地域社会・団体の協力を求める。

第8条(父母らの養育責任と園の援助)
 園は、園児の権利と責任が第一義的に父母らにあることを認め、これを尊重する。

第9条(父母らの指導の尊重)
 園は、園児の権利と自由を実現するため、父母らが園児に対し適当な指示、指導をあたえる権利と義務を認め、これを尊重する。

第10条(園児と父母らの関係)
  1. 園児は、父母らの意思に反して分離されない。但し、司法あるいは権限ある機関の審査の結果、父母らとの分離が園児の福祉にとり必要であると判断される場合はこの限りではない。
  2. 父母又はその一方と分離されている園児は、その園児の福祉に反しない限り、父母またはその一方と定期的に人的な関係、接触をもつことができる。
  3. 園は、園児の福祉に反しない限り、請求があれば父母、園児、家族のほかの構成員に対し、不在となっている家族構成員の所在に関する情報を提供する。

第11条(家族関係の再統合)
 園は、家族の再統合を目的とする園児の外出、通所、父母らの施設への立ち入りの請求があるときは、その手続きを迅速に取り扱う。

第12条(不法な施設外移送の防止)
 園児は不法に施設外に移送されたり、施設へ帰ることを阻止されず、園はそのような事態の発生を防止する。

第13条(虐待などからの保護)
  1. 園は、園児があらゆる形態の身体的、精神的侵害を受けないように保証する。
  2. 園は、園児があらゆる搾取の対象とならないように保護する。
  3. 園は、園児が心身の発達を阻害するおそれのある労働から保護する。

第14条(家庭環境を失った園児の保護)
 園は、家庭環境を失った園児または家庭環境にとどまることが認められない園児については、特に留意して処遇し、保護する。

第15条(障害をもつ園児の処遇)
  1. 園は、精神的もしくは身体的障害をもつ園児が人としての意思をもち、自立し、社会へ積極的に参加できるようになるため、得に配慮して適切な処遇をする。
  2. 園は、前項の為、次のことを行う
    @ 発達段階に従った心身両面の教育、訓練
    A 保健サービス、リハビリテーションサービス、リクリエーションサービスの提供
    B 障害に関する医学・心理学的資料、機能的治療などの情報の収集と利用
    C 就職のための職業訓練

第16条(健康の維持)
  1. 園は、園児が常に最良の健康状態を保持するようにする。
  2. 園は、前項のために、次のことを行う。
    @ 質量ともに十分な食事の提供
    A 保健衛生に適合した居住設備の提供
    B 適切な医療及び健康管理
    C 園児の健康を害するおそれのある行事の廃止
    D 定期的・継続的健康診断の実施
    E 汚染された環境からの保護
    F 園児及び父母等に対する保健衛生、事故、事件防止のための知識の授与と言及

第17条(園の定期的審査)
  1. 園児は、園が園児の処遇、施設の運営状態につき、権限にある期間による定期的審査を受ける権利を有する。
  2. 園は、1の審査の結果に基づき助言、勧告が与えられらた場合はこれに従い誠実に実施する。

第18条(社会保障)
 園は、園児が社会保険、年金その他社会保障からの給付をうけるに必要な手続きをする。

第19条(教育、能力の開発)
  1. 園は、園児が人権、才能、精神的及び身体的能力を最大限に発揮できるよう適切な指導、訓練を行う。
  2. 園は、園児が責任ある社会人となるための準備として次のことを行う。
    @ 基本的人権、自由と義務に関する知識の授与
    A 平和、寛容、忍耐、両性の平等、社会の基本的ルールの意義と理解
    B 異なる文化、価値感、宗教観、道徳観、慣習、意見などの相互理解と尊重
    C 自然環境の保持と生活環境との調和とその意義

第20条(有害薬物の排除)
 園は、園児が麻薬、抗精神薬などの有害物質、法令により未成年者に使用が禁止されているものを使用しないよう細心の注意を払うとともに、それらの害悪について説明し理解させる。

第21条(余暇の善用)
  1. 園は、園児が心身の円満な発達を図るため園の内外において余暇を善用する機会を与える。
  2. 園は、前項のため、次のことを行う。
    @ リクレエーション活動への参加
    A 文化的、芸術的活動への参加
    B 体育行事への参加
    C その他心身の健全な発達に必要な行事への参加

第22条(刑事処分後の園児の処遇・措置)

 園児が刑事処分、法令に定められた理由により処分を受けた後に園に戻った場合、園は次のことを行う。
 
  1. 園児の更生のため、適切な保護、処遇、指導計画の作成と実施
  2. 適切なカウンセリングの実施
  3. 園の養護以外の適切と思われる措置の実施

第23条(園の情報公開、広報活動)
 
  1. 園は、施設の安全と運営、園児の福祉に反しない限り情報を公開する。
  2. 園は、適当な方法でこの宣言の内容を園児、父母らに周知させる。

第24条(第三者機関の設置と任務)
 園は、この宣言において園が負担する義務について、その履行状況を審査する委員会を園内に設ける。
 
  1. 委員会は、人権擁護、児童養護につき知識・経験をもつ公正中立な者約5名をもって構成する。
  2. 園は、2年に1度、この宣言により園児に保証された権利と自由の実現のために園がとった措置とその効果につき報告書を委員会に提出する。その報告書には、園児の権利と自由の実現を阻害している事情があるときは、これを記載する。
  3. 委員会は、定期にまたは随時に園児、職員、理事らについて園が負担する義務の履行状況を調査することができる。
  4. 委員会は、上記報告書及び自ら調査した結果に基づき、園に対し助言する。
  5. 委員会は、前項の助言の内容につき関係機関に報告する。

                                 以上