トップ アイコン   児童養護施設恩寵園」の児童虐待事件
2001年版
(最終更新 2001/8/4)
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from 2001/3/9 

2001/08/02 共同通信
体罰で県職員の処分求める

 千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園(おんちょうえん)」の体罰事件で、「恩寵園の子どもたちを支える会」(浦島佐登志代表)は二日、県の担当職員が行政責任を果たさず問題を放置したとして児童家庭課などの県職員二人の懲戒免職、三人の懲戒処分を求める申し入れ書を堂本暁子同県知事あてに提出した。
 申し入れ書によると、園児十三人が一九九六年四月、同園から脱走し児童相談所に駆け込んだが、県の担当職員が十分な調査をしないまま園児らを同園に戻したため、体罰が続いた。
 同課は「民事訴訟が進行中なのでコメントできない」としている。
同園をめぐっては、元入所児童が県や前園長などに計一億一千万円の損害賠償を求める訴訟を千葉地裁に起こしている。


2001/07/28 読売新聞 東京朝刊
恩寵園の虐待、克明に「支える会」が本、31日出版へ=千葉

◆麻袋に入れ一晩つるす金属バットで顔を殴る生ゴミバケツに頭から

 「骨が折れるとか、傷を付けられるとかは、しようがないこと。親も家族もいないから、園長先生の言うことを聞かないと生きていけない」(二十四歳の元入所者の女性)――。恩寵園(おんちょうえん)の虐待を記録に残し、施設内虐待の根絶に役立てたいと、園児らの支援者や弁護士らでつくる「恩寵園の子どもたちを支える会」が三十一日、「養護施設の児童虐待―たちあがった子どもたち」を出版する。虐待に耐えかねた園児の脱走、事なかれ主義の行政に対する怒りと失望、園児と支援者が力を合わせて希望を取り戻すまでの過程などを克明に描いている。

 本は、「虐待は明るみに出された」「敗北、挫折、そして崩壊」「展望のない闘いへ」「最終決戦から十日間戦争へ」の四章に弁護団の座談会を加えた構成。

 子どもの手に火のついたティッシュを押し付ける、麻袋に子どもを入れて木に一晩中つるす、金属バットで顔を殴る……。第一章は、こうした常軌を逸した虐待が一九九五年八月、市川児童相談所への告発電話で発覚したことから始まる。「同じ年の少年が、ハエがたかる生ゴミ用のバケツに、大浜園長に頭から突っ込まれるのを見たのが最初の洗礼」(十数年前に卒園した女性)。目を覆うような虐待は、大浜浩被告が園長になった約二十年前から行われていたという。

 こうした虐待は、卒園した後も後遺症として元園児を悩ませる。「人が自分の周りで手を上にやると、やられるって感じる癖がついているんです」。現在二十二歳の男性は、殴られる恐怖が体中を駆けめぐり、反射的に自分の腕を顔の前に上げてしまうという。男性は、正座したまま新聞の全ページの書き取りを命じられたこともあった。この“拷問”は四日間続き、眠るときも正座したままだったという。

 また、県が六年前、告発の電話があった直後に様々な虐待の事実を把握しながら、大浜被告の解職勧告を行うなどの手だてを取らなかったと追及。県の担当者は、大浜被告本人としか話をせず、園児らの話には取り合わなかったといい、「代官と白州で裁かれる罪人がグルになっているようなもの」と、その姿勢を厳しく批判している。

 第三、四章では、苦難の中、マスコミで園児の声が取り上げられたり、民事訴訟で虐待の事実が認定されるなど、追い風が吹き始めた過程に触れ、大浜被告らの逮捕、園の再生へ向けた取り組みの模様を描いている。

本は三百九ページ、千八百円。問い合わせは明石書店(03・5818・1171)へ。

        ◇

【恩寵園事件】船橋市薬円台の児童養護施設「恩寵園」での園児虐待事件。一九九六年四月、小学五年生から高校三年生の計十三人が園を集団脱走し、「木につるされた」「殴られた」などと日常的な虐待行為を訴えた。園児の代理人の弁護士らは翌九七年十月、県知事を相手取り、園長に給与を支払うのは公金の違法支出だとして提訴。千葉地裁は昨年一月、この訴訟の判決の中で、園児らが主張した虐待行為をすべて認定した。

 これと前後して、弁護士らは県警に、園での虐待を刑事告発。県警は昨年三月、元男性職員(32)を強制わいせつ容疑で、同五月には、この元職員の父親で元園長の大浜被告(64)を傷害容疑で、それぞれ逮捕した。その後、元職員は婦女暴行の罪でも起訴され、昨年十月、千葉地裁で懲役四年の実刑判決を受け、確定した。また、恩寵園の卒園生十一人が昨年三月、大浜被告らを相手取り、計一億一千万円の損害賠償を求める訴訟を千葉地裁に起こしており、現在、審理が進められている。


2001/07/28 読売新聞 東京朝刊
恩寵園虐待事件元園長実刑に支援者ら笑顔=千葉

 「大浜被告には施設責任者の資格がないと、裁判長が認定してくれたのがうれしかった」――。船橋市薬円台の児童養護施設「恩寵園」で起きた園児虐待事件で二十七日、元園長の大浜浩被告(64)(船橋市習志野)に懲役八月(求刑・懲役一年)の実刑判決が言い渡されたことを受け、元園児や支援者らが千葉市内で記者会見を開き、被害者側の心情を深くくみ取った判決内容に、笑顔を見せた。

 千葉地裁の下山保男裁判長はこの日、「男児の指の傷は、誤って刈り込みバサミの刃先が当たってできた」とする大浜被告側の主張を、「男児の左手小指のV字形の傷は、その形状からハサミの根本付近で挟まれてできたと認められる」などと、ことごとく退けた。

 さらに、大浜被告が公判中、一貫して「(男児の小指を傷付けた)事実関係をよく覚えていない」と証言していたことについて、「現在も傷跡が残るけがを負わせたのだから、園の最高責任者としては、大きな失態として記憶に残ってしかるべきで、到底信用できない」と述べ、捜査段階からの大浜被告の言い分をすべて「不合理な弁解」とした。

 判決言い渡しを受け、記者会見した「恩寵園の子どもたちを支える会」の浦島佐登志代表(51)は「私たちの主張をすべて認めてくれた判決。大浜被告の不誠実な態度への裁判長の怒りが伝わってきた」と声を弾ませた。しかし、その一方で「五年前、子どもたちが児童相談所に駆け込んだ時点で、県が虐待を認定していれば、もっと重い刑が科せられたはず」と、県に対する不満をあらわにした。

 同席した山田由紀子弁護士は「執行猶予も想定していたが、実刑と聞いて涙が出る思いだった」と感激した様子で、「この判決が、弱い立場の人を預かる施設への警鐘になればと願う」と話した。


2001/07/28 中日新聞 朝刊
元園長に実刑判決船橋・恩寵園事件

千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵(おんちょう)園」の園児にけがをさせたとして、傷害罪に問われていた同市習志野二、元園長大浜浩被告(64)に対する判決公判が二十七日、千葉地裁であり、下山保男裁判長は大浜被告に懲役八月(求刑懲役一年)の実刑判決を言い渡した。

判決によると、大浜被告は同園長だった一九九四年九月十八日夕、同園新館裏の植え込み付近で、園児の小学一年男児=当時(7つ)=の左手小指を刈り込みハサミで挟んで切りつけ、十日から二週間のけがを負わせた。

下山裁判長は「抵抗するすべのない園児に、けがを負わせる卑劣かつ悪質な犯行」と指摘。「幼い園児が受けた恐怖感や精神的衝撃は計り知れない」と指摘した。

同園は園児への体罰や虐待が問題化。

大浜被告の二男の元職員(32)も、園児に対する婦女暴行などの罪に問われ、千葉地裁で懲役四年の実刑判決が確定している。


2001/07/27 共同通信ニュース速報
児童に傷害の前園長に実刑 千葉の養護施設体罰事件

 千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園(おんちょうえん)」で、入所児童の指をはさみで切ったとして傷害罪に問われた前園長、大浜浩被告(64)=同市習志野=の判決公判が二十七日、千葉地裁で開かれ、下山保男裁判長は懲役八月(求刑懲役一年)を言い渡した。
 下山裁判長は判決理由で「抵抗するすべを持たない幼い児童に、刈り込みばさみで切り付けた悪質な犯行」と述べた。
 判決によると、大浜被告は一九九四年九月、同園の男子児童=当時(7つ)=が施設のベランダにはだしで出たことに腹を立て、刈り込みばさみで児童の左手の小指を切り、十日から二週間のけがをさせた。
 恩寵園をめぐっては、元園児十一人が在園中に継続的に体罰を受けたとして、大浜被告や千葉県などを相手に総額一億一千万円の損害賠償を求める訴訟を千葉地裁に起こしている。(了)


2001/07/27 NHKニュース速報
恩寵園園児体罰 元園長に実刑判決 千葉地裁

 千葉県船橋市(フナバシシ)の児童養護施設で、はだしでベランダに出た園児にはさみでけがをさせ傷害の罪に問われている元園長に、千葉地方裁判所は「行き過ぎた戒めだ」として、懲役八か月の判決を言い渡しました。
 この事件は平成六年、千葉県船橋市にある児童養護施設「恩寵園(オンチョウエン)」で、当時園長をしていた大濱浩(オオハマコウ)被告(六十四)が、はだしでベランダに出た七歳の男の園児に規則を破ったとしてはさみで切りつけ手にけがをさせたというもので、大濱元園長は傷害の罪に問われていました。
 裁判で元園長は「けがをさせたのは事実だが故意ではなかった」として無罪を主張していました。
 きょうの判決で、千葉地方裁判所の下山保男(シモヤマヤスオ)裁判長は「被害者のけがの具合や目撃したほかの園児らの証言から、元園長が故意に切りつけたと認定できる」と指摘しました。
 そのうえで、「はだしでベランダに出たというささいな規則違反をしたとして傷害を負わせたのは行き過ぎた戒めで、同じような犯行を防止するためにも厳しく対処する必要がある」と述べて、元園長に懲役一年の求刑に対して懲役八か月の実刑を言い渡しました。


2001/07/27 読売新聞ニュース速報
児童養護施設「恩寵園」虐待事件、元園長に懲役8月

 千葉県船橋市薬円台の児童養護施設「恩寵園(おんちょうえん)」で園児を虐待したとして傷害罪に問われた同市習志野、元園長大浜浩被告(64)に対する判決公判が27日、千葉地裁で開かれ、下山保男裁判長は懲役8月(求刑・懲役1年)を言い渡した。
 判決によると大浜被告は園長だった1994年9月18日、園児3人がはだしでベランダに出入りしていたことに腹を立て、当時7歳だった男児の左手小指を刈り込みばさみで切り付け、約10日間のけがを負わせた。


2001/07/27 毎日新聞ニュース速報
<虐待>前園長に懲役8月 養護施設「恩寵園」事件 千葉地裁

 千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園(おんちょうえん)」の園生虐待事件で、傷害罪に問われた前園長、大浜浩被告(64)=船橋市習志野2=に対し、千葉地裁の下山保男裁判長は27日午後、懲役8月(求刑・懲役1年)を言い渡した。

 判決によると、大浜被告は園長だった94年9月18日、園生の男児(当時7歳)が裸足で庭に出たことに腹を立て、刈り込みはさみで男児の左手小指に切り付け、10日間のけがを負わせた。弁護側は「過失事故だった」と無罪を主張していた。

 恩寵園事件 96年4月に表面化。児童・生徒13人が園から逃げ、「全裸での正座」「包丁で身体を傷付ける」「木刀で殴る」などの虐待を千葉市などの児童相談所へ訴えた。しかし、千葉県は入所者を施設に戻すなどの対応に終始した。市民団体などの追及を受けて県は昨年2月、ようやく「体罰は継続していた」との調査結果を発表した。
大浜被告は同月、園長を辞任、5月に逮捕。当時職員だった大浜被告の二男(32)も同3月、女児(当時12歳)に対する強制わいせつ容疑などで逮捕され、懲役4年の実刑判決を受けた。刑事事件で裁かれるのは大浜父子の2人。民事では、元園生11人が県や施設などを相手取り、計約1億1000万円の損害賠償を求めて提訴している。

 恩寵園は昨年4月に園長が交代し、正常化の道をたどり始めた。だが、20年間にわたった虐待の大部分は裁かれないまま、元園生の心に深い傷を刻み込んでいる。

 「人のことボコす(殴る)ことで愛情を感じたりとか、頭おかしいかもしんない、私。将来自分の子供に同じことをしちゃうんじゃないかと、不安になる」。東京都内に住む無職の女性(20)は寂しそうな笑みを浮かべた。

 生後間もなく母親と死別し、父親の都合で83年に入園。麻袋に入れられてつるされたり、乾燥機に閉じ込められるなどの虐待が続いた。裸で男子の前を歩かされたこともある。「保母さんが『やめて』と言っても(大浜被告は)聞かなかった。足が震えた」

 高校生だった98年4月、大浜被告から突然「お前は出ることになった」と告げられ、父親に引き渡された。園での15年間は終わった。

 父親宅には一晩泊めてもらっただけで追い出された。高校を中退して友人の家を泊まり歩き、飲食店やパチンコ店などを転々として稼ぐ生活の中で、周囲の人に暴力をふるった。「これじゃあいつ(大浜被告)と同じ。何やってんだろ、とあせった。でも、やめられなかった」

 昨年3月に出会った男性との交際を機に、落ち着きを取り戻しつつあるという。「自分の悪の部分を思いっきりさらした。全部受け入れてくれた。それからかな、立ち直れた気がする」。だが、大浜被告への恨みは断ち切れない。「何十人という子を何年も苦しめて……。どんな判決になっても、一生許せない」 【坂井隆之、友田綱樹】


2001/07/27 時事通信ニュース速報
「恩寵園」元園長に実刑=はさみで園児の指切り付ける−千葉地裁

 千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園」で、園児の手の指をはさみで切り付けたとして、傷害罪に問われた元同園園長大浜浩被告(64)に対する判決公判が27日、千葉地裁で開かれ、下山保男裁判長は懲役8月(求刑懲役1年)の実刑を言い渡した。
 下山裁判長は「園児に対する懲戒権行使の範囲を逸脱した反社会的犯行で、動機に酌量の余地はない。児童養護施設に対する信頼も失墜させた」と指摘した。
 判決によると、大浜被告は1994年9月、同園に入所していた男児=当時(7つ)=の左手小指を刈り込みばさみで切り付け、10日から2週間のけがを負わせた。
 同園をめぐっては、職員だった大浜被告の二男(32)も入所していた女児にわいせつな行為をしたとして、強制わいせつと婦女暴行の罪に問われ、懲役4年の実刑が確定している。 


2001/07/27 朝日新聞ニュース速報
児童養護施設体罰事件の元園長に実刑判決 千葉地裁

 千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園(おんちょうえん)」で起きた体罰事件で傷害罪に問われた同市習志野2丁目、元同園長大浜浩被告(64)に対し、千葉地裁の下山保男裁判長は27日、懲役8カ月の実刑判決を言い渡した。
 判決によると、大浜被告は園長兼理事長だった94年9月、園児らが鬼ごっこ中に裸足でベランダに出入りしていることに腹を立て、当時7歳の男児の左手小指をはさみで切り、10日から2週間のけがを負わせた。
 同園は95年、長年にわたる園児への体罰が表面化し、00年春に役員が総入れ替えになった。
 卒園生11人が体罰で身体的、精神的被害を受けたとして大浜被告や県などを相手取り、約1億1000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。


2001/03/29 朝日新聞 東京地方版/千葉
被告の元園長、無罪を主張 恩寵園事件公判が結審 /千葉


 長年の体罰が問題となった船橋市の児童養護施設「恩寵(おんちょう)園」で、園児にけがをさせたとして傷害の罪に問われた、同園の元園長大浜浩被告(六四)=同市習志野二丁目=に対する公判が二十八日、千葉地裁(下山保男裁判長)であり、結審した。弁護側は最終弁論で「捜査当局側の目撃証人は現場を目撃していないはずだ」などと従来通り無罪を主張した。判決公判は七月二十七日の予定。

 検察側の論告によると、大浜元園長は、園長兼理事長だった一九九四年九月十八日に同園で、三人の園児が鬼ごっこをして裸足でベランダに出入りしているの見て腹を立て、当時七歳の男児の左手小指をはさみで切って十日から二週間のけがをさせたとされる。検察側は前回公判で懲役一年を求刑した。

 大浜元園長はこの日の最終陳述で、「故意に切りつけた訳ではない。不注意だった」と述べた。

恩寵園をめぐっては、卒園生十一人が、体罰により身体的、精神的な被害を受けたとして、大浜元園長や県などを相手取り、約一億千万円の損害賠償訴訟を起こして争っている。


2001/03/10 朝日新聞 東京地方版/千葉
元園長の被告に懲役1年を求刑恩寵園事件で検察側/千葉

 船橋市の児童養護施設「恩寵(おんちょう)園」の園児にけがをさせたとして、傷害の罪に問われた同市習志野二丁目、同園の元園長で無職大浜浩被告(六四)に対する論告求刑公判が九日、千葉地裁(下山保男裁判長)であり、検察側は「園児を保護すべき最高責任者でありながら、幼い園児が約束事を守らなかったことに腹を立ててけがをさせたもので、動機に酌量の余地はない」として懲役一年を求刑した。

これに対し弁護側は、最終弁論で「けがをさせたのは事実だが過失であり、故意ではなかった」などとして無罪を主張している。次回は二十八日で、弁護側が引き続き最終弁論を行う。

2001/03/10 読売新聞 東京朝刊
恩寵園元園長に懲役1年を求刑=千葉

 船橋市薬円台の児童養護施設「恩寵園(おんちょうえん)」で一九九四年九月、園児にけがを負わせたとして、傷害罪に問われた元同園長で同市習志野、無職大浜浩被告(64)の論告求刑公判が九日、千葉地裁で開かれ、検察側は「園児を保護すべき被告が、幼い園児に傷害を負わせた犯行は、誠にゆゆしき事犯」などとして、懲役一年を求刑した。

 検察側は公判で、大浜被告は園長だった九四年九月十八日、園児三人がはだしでベランダに出入りしていたことに腹を立て、小学一年の男児一人の左小指を刈り込みばさみで切りつけ、約十日間のけがを負わせたと主張。弁護側は「けがをさせたのは事実だが、故意に傷つけたのではない。大浜被告が枝をせん定していた時に男児が寄ってきた」と無罪を主張してきた。

 検察側は「七歳のか弱い園児を人目の届かない場所に連れていき、感情の赴くままにけがを負わせた卑劣で悪質な犯行」として厳罰を求めた。

2001/03/10 毎日新聞 地方版/千葉
恩寵園虐待事件 前園長に懲役1年を求刑−−千葉地裁 /千葉

 ◇園児虐待事件

 船橋市の児童養護施設「恩寵園」の前園長らによる園児虐待事件で、傷害罪に問われた同市習志野2、前園長、大浜浩被告(64)に対する論告求刑公判が9日、千葉地裁(下山保男裁判長)で開かれた。検察側は「最高責任者として児童を保護すべき立場にありながら、幼い園児に傷害を負わせた弁明の余地のない犯行。被害者に与えた精神的苦痛や社会的影響も大きい」と懲役1年を求刑した。弁護側は「目撃証言からも過失事故であることは明らか」と改めて無罪を主張した。28日の次回公判で大浜被告の最終意見陳述が行われ結審する予定。

 検察側は論告で、大浜被告が1994年9月、園生の男児(当時7歳)が裸足で庭に出たことに腹を立て「こんな指はいらない」と、植木用はさみで男児の小指を切り付けたと指摘。「抵抗できない園児を感情の赴くまま傷つけた卑劣、悪質な犯行」と批判した。さらに男児の指にV字型の深い傷跡が残っていることに触れ「意図して切り付けたのは明らかだ」と述べた。

2001/03/09 NHKニュース速報
園児虐待 養護施設の元園長に懲役1年求刑 千葉

 千葉県船橋市の児童養護施設の園長だった男が、園児の手をはさみで切ってけがをさせたとして傷害の罪に問われている裁判で、検察側はこの元園長に懲役一年を求刑しました。
 起訴されているのは、千葉県船橋市にある児童養護施設「恩寵園(オンチョウエン)」の元園長、大濱浩(オオハマコウ)被告(六十四)です。
 大濱元園長は、恩寵園に在職していた平成六年の九月に、当時七歳の男の園児の手をはさみで切りつけて、十日から二週間ほどのけがをさせたとして傷害の罪に問われています。
 裁判で大濱元園長は、「けがをさせたのは事実だが、故意にしたのではない」として無罪を主張しています。
 きょう千葉地方裁判所で論告求刑公判が開かれ、検察側は「被告は施設の最高責任者として園児を保護すべき立場にありながら、約束ごとを守らなかったとして腹を立てて園児にけがを負わせたもので、動機に酌量の余地はない」として、大濱元園長に懲役一年を求刑しました。
 恩寵園をめぐっては、卒園生十一人が、同じような虐待を受けたとして元園長や千葉県などを相手取り、およそ一億一千万円の損害賠償を求める裁判を起こしています。


2001/02/12 朝日新聞 東京地方版/千葉
船橋の「恩寵園」がHPを開設 体罰問題の児童養護施設 /千葉

 昨年、体罰が問題となった船橋市の児童養護施設「恩寵(おんちょう)園」が、同園を紹介するホームページ(http://www.onchoen.com/)を開いた。ホームページでは、「自由で愛にみちた家をめざして」というキーワードのもと、園児たちが元気な顔を見せている。
 また同園は、市民らから琴四面と横笛十本の寄付を受けた。十二日に園内で贈呈式を行うという。今後園児らが、ハンドベルと併せて練習する。
 新田目建園長(六八)は「園の状況を公開して、みなさんに理解してもらいたい。また、園児らは心の傷を邦楽でいやして欲しい」と話している。問い合わせは同園(〇四七−四六六−四〇二〇)まで。
同園は、県の改善勧告を受けて昨年四月に改善計画書を県に提出。職員研修の徹底などの改善に取り組んでいる。