トップ アイコン   千葉恩寵園裁判資料
衆議院 厚生委員会議録
カウンタ
from 2000/1/26

平成9年(1997年)5月28日 第140回国会 衆議院 厚生委員会議録 第30号


(略)

町村委員鼻長
瀬古由起子さん。

瀬古委員
 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 私は、千葉県船橋市の養護施設、恩寵園問題についてまず御質問をしたいと思います。
 恩寵園では、園長によって、長期にわたって児童に対して体罰や虐待が行われてきた疑いが大変強いのです。保母たちのさまざまな申し入れも園長は受け入れずに、たまりかねた保母らが十人、昨年四月一日に辞表を提出いたしました。保母らを守りたいと十三人の児童が園を抜け出し、児童相談所に駆け込みました。一時保護所では子供たちは通学できないために、渋々、園に戻されたと報告されています。
 ことしの三月の末ですけれども、園の状況が改善されないことと、そして児童の処遇に疲れ果て、園長の側近を除く全職員が退職するという事態になっています。この間、ニ度にわたって、全国の百名を超える法律家、弁護士、研究者の方々が、事態の改善を求めて県知事に意見を提出しています。この代表に、千葉県は、体罰禁止の指導はしていない、体罰の定義が難しいので、行き過ぎた指導はよくないと指導している、このように答えております。園長自身も、子供たちや労働組合に対して、体罰はしないと文書で約束しているにもかかわらず、県は体罰禁止の指導さえしていないとすれば、全く信じられないことだと思うのです。
 さらに、千葉県は、社会福祉事業法五十四条や児童福祉法四十六条に定める改善命令それから事業停止命令など、県の責任を一切果たそうとしておりません。
 そこで、厚生省はこの千葉県の対応についてどのように指導されてきましたか。

横田政府委員
 養護施設恩寵園の問題に関しましては、これまで、千葉県におきまして、児童相談所と本課の方が共同でカンファレンスチームというのをつくりまして、児童の処遇について、毎月一回、園の方を訪問し、指導を行っているというふうに聞いております。また、八年度の県の監査におきましても、人所児童の指導方針なり指導体制を確立するとともに、児童相談所ともよく連携を図るように文書で指導しているというふうに聞いているところであります。体罰の事実につきましては、県としてもこれを認めているというふうに私とも承知しているところでございます。
 厚生省といたしましては、この事件が発覚して依頼最近に至るまで八回にわたりまして、県の方から、体罰の事実の有無の確認でございますとか、職員の体制なり本庁の指導監査の実施状況ですとか、入所児童の状況等について報告を求めまして、県の方に対し、施設に対する適切な処遇が行われるよう指導してきているところでございます。

瀬古委員
 厚生大臣にお聞きしたいのですけれども、先日、大臣は、委員会で、子供たちが自分を愛してくれていると体で感じられるように親がしっかり抱いてそっと歩かせる、このようにお話しされましたね。私は、この恩寵園の子供たちというのは、この施設に来る前に本当に身も心も傷ついている子供たちだと思うのです。本来なら、こういう子供たちこそしっかり抱き締めてあげなければなちない子供たちだと私は思うのですね。その子供たちがもうたまらなくなって飛げ出してしまう。こういう傷ついた子供たちを体罰、虐待などということは絶対あってはならないことだと私は思うのですね。
 その点、児童福祉法五十九条の五では厚生大臣にも責任があるということはきちんと位置づけられておりますけれども、このような体罰や虐待はもうニ度とあってはならない、こういうように思うわけですけれども、いかがでしょうか。

小泉国務大臣
 本来、愛情を受けてしかるぺき子供たちが虐待されるということはまさにあってはならないことでありまして、しかも、このような、恩寵園なんという、恩寵どころじゃない、全く文字とは逆のことをやっているかのような誤解を与えただけでも、その施設の責任というのは大変重いのではないかと思います。
 県としての指導監督はどうなっているのか、きちんと県当局がその施設に対しまして指導を徹底させているのか、厚生省としてもできる限りの指示、指導を徹底していきたいと考えております。

瀬古委員
 先ほど言いましたように、法律家の方には体罰禁止の指導はしていないとはっきり言っているのだそうです。これについても、体罰は禁止なんだということをはっきり指導するように県の方に厚生省としてもやはり指導いただくということでよろしいでしょうか。

小泉厚生大臣
 何遍もその通知を厚生省としては出しております。さらに徹底するように指導していきたいと思います。

瀬古委員
 先日の委員会では、この体罰問題を含めまして、親権という問題が出ました。これは施設長にある、しかし、親権に体罰を含まないのは当然だから、体罰禁止を今度の法改定の中に明記する必要はない、このような御答弁があったかと思うのですね。
 しかし、全体的には、禁止規定がないから認められているというこういう認識も、実は体罰の問題については、特に親権という問題になりますと出てくる可能性もあるわけです。
 学校教育法にはきちんと体罰禁止というのがうたわれていまして、これはもう私は当然だと思うのですが、児童福祉法にも、そういう親権という問題があるから、余計に踏み込んだ、きちんと体罰禁止という規定を設けるべきだと私は思うのですけれど、いかがでしょうか。

横田政府委員
 学校教育法におきましては、本来、校長なり教員は親権を有してないわけでありますが、そういったところに、教育目的を達成するということで、懲戒権を創造的に認めているわけであります。その一環として体罰の禁止を定めて(略)