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千葉恩寵園裁判資料 労働組合の園長退職要求決議 |
from 2000/1/26 |
何故、私たちは園長の辞任を求めるのか全国福祉保育労働組合 千葉支部 恩寵園分会T.「指導」の名を借りた虐待行為 残念なことに、養護施設の恩寵園では長年にわたり、大浜浩園長による子供達への身体的・精神的虐待が「指導」という名を借りて行われてきました。私たちは、以下に列挙する数々の事実と、そのような行為を止め切れないことに、日々悩み心を痛め続けてきました。
これらの「指導」に名を借りた虐待行為にたいして、園長自身の反省は見られませんでした。そして、子ども達の心の傷は益々深くなっていたのです。 U.県の指導後も変わらなかった園長 昨年の9月に、県や児童相談所からの恩寵園の養護に対する改善の指導が始まりました。しかし、園長から職員に対しては、何の説明もされないままでした。 職員から園長に話し合いを求めると、「保母は、レベルが低いから分からないだろう」「今回、こんなことになったのは、内部告発をした者がいるからだろう」と、問題の本質をごまかし逃げる姿勢しか伺えませんでした。 やっと設けた職員会議の場で示された園長の体罰に対する見解は、「子どもにも原因があり、そこまで私を追い込んだのは、保母の指導力不足である」というものでした。園長の体罰問題は、保母・指導員に原因があるという責任転嫁を行ったわけです。 また、保母や指導員が精神的・身体的にゆとりを持つことで体罰は改善できるので、そのことも含めて児童相談所の指導を受けると説明がされました。「県からの指導があったので、園長の子どもに対する直接的な指導はしない」と、園長から職員に報告がされました。しかし、その後、園長はそのことを全く守ってきませんでした。 物理的な体罰=虐待は減ったものの、理不尽なことを子どもに強要する精神的虐待・いじめが増えていきました。そのことに職員が意見を述べると、必ず「園長の権限だ」と押し切られ、さらに退職強要をほのめかす言葉まで出されました。職員も、精神的な苦痛と屈辱の中で働き続けることになっていました。 子ども達の悩みや苦しみのメッセージと理解できる問題行動(万引き・無断外泊や外出など)について、私たちが取り組みを進めているにもかかわらず、園長は決まって「県からの指導で、処遇困難児は措置変更するように言われている」と発言を繰り返してきました。その言葉には思いやりのかけらも感じられず、子どもも保母も、脅かされているとしか思えませんでした。このように園長の言葉の暴力を受けることは以前より増え、子ども達が、落ち着いた生活を送ることは難しい状態が続きました。 職員に対しても言葉の暴力は、繰り返されました。「給料どろぼう」「あなたを副主任に選んだのは人事のミスだった」「わたしに逆らうなら、辞めてもらってかまわない」「あなたは、わたしに意見するのか」など、職員も園長から威圧され傷つけられることが多くありました。 そのような中で、私たちは子どもを園長からひたすら守ることに徹してきました。 V.非民主的な園運営 4月1日の新年度発足にあたり、職員の人事や子供達の部屋替えの発表がありました。保母・指導員15名中(内3名は新任職員)11名が園長の提案に疑問を持ちました。提案のままでは、今までのように子ども達を守ることができず、子ども達はますます園長の独断的で威圧的な姿勢の中での生活を強いられると、私たちには思えました。 新年度に向けた事前の話し合いは、園長・指導員(園長の息子)・主任・副主任(2名)の5名により、数回にわたって行われてきました。しかし、職員の人事や子どものグループ編成は、園長の専権事項であり、発表されるまで私たちには分からないことです。 発表された提案について、異論があれば会議を開き話し合うことになっていまし。そこで、保母と指導員とで会議の開催を、園長にお願いにいきました。ところが、「人事権は園長の権限だ」と言い張り、考え直す余地はないと言うことでした。私たちは、このままでは子どもを守ることができないと強く思っていましたので、何度も頼みましたが取り合ってもらえませんでした。最後には、「(この案で)出来ないなら外れてよい」「辞めてもらってよい」という発言が園長からされました。 その後、4月3日の子ども達への発表は、園長の初めの提案のままであることが知らされました。しかし、発表の直前になり、副主任だけが呼ばれました。そこには、主任と園長の息子である指導員がいました。主任から、人事を多少変更してはという意見が出され、園長は主任の提案を受け入れて話し合いを進めました。しかし、提案の改善は中途半端なものであり、私たちの危惧を根本的に解決するものではありませんでした。 最終的に、最初の案か発表直前に作られた案の、いずれかを選ぶことを強いられました。しかし、私たちはどちらを選んでも、子どもの為にはならないと考えていました。 私たちは、保母全員で相談をする時間をもらい話し合いましたが、いくら考えても答えを出すことは出来ませんでした。どちらを選んでも、子ども達を見放すことになるからです。だからこそ、無力感にさいなまれながらも、何か方法はないかと考えました。 私たちは無力感に打ちのめされて、辞職する意志を園長に伝えました。 W.子ども達の抗議 子ども達は、通常4月1日に行われる部屋替えの発表が3日にずれ込み、一体何が起こったのかと心配し始めていました。私たちは、「子ども達が安心して暮らせるように話し合っている」と伝えてきました。 多数の保母に辞職の意志があることを知った子ども達は、次々と園長・主任・晶指導員に、自分たちの気持ちをぶつけにいきました。大人の都合できちんと対応してもらえず、今まで我慢してたものが怒りとなってあらわれました。 子ども達は、児童相談所へ助けを求めて駆け込みました。 それは、私たちにとっても衝撃的なことでした。児童相談所に多くの子どもが保護されたことは、私たちにも責任があると感じました。子どもの気持ちを無駄にせず一番に考えていこう、私たちの気持ちは一致しました。辞職願いを、全員が撤回しました。 X.県や児童相談所との話し合いで その後、毎日のように、児童相談所や県の児童家庭課の職員との話し合いが続きました。子ども達に「安心して暮らせる場になるまで戻らない」「園長先生が辞めるまで戻らない」という強い意志があることが分かりました。 子ども達は当たり前のことを望んでいるのに、今までそれができていなかったこと、そして、園長による子どもへの虐待行為やいじめについて、話し合う機会をもちました。ところが、園長は自分の行ったことについての反省の言葉はなく、言い訳ばかりでした。そのような状況であるにもかかわらず、園長を助けるかのように、児童相談所の一部職員による体罰を容認する残念な発言もありました。また、子ども達は園長が怖くて戻れないでいるのに、子どもの気持ちを無視して、何の改善もされていない園に早く戻すようにとする意見もありました。 そうは言っても、新学期が始まり子ども達は心配になり、学校へ行きたいという思いも出てきました。その頃になっても園長は変わらないままで反省をみせるどころか、園にも姿を見せず、園としての善後策を話し合うことも出ませんでした。ある時の会議に久しぶりに出席した園長の発言は、またもや、自分へのした行為への反省の言葉もなく、大人同士のコミュニケーションの問題で子ども達にいやな思いをさせたということでした。 私たちは、学校へ行きたがっている子ども達を迎えるために、改善を求めて園長に条件を提示しました。 一.体罰はしない 一.直接処遇をしない 一.保母と話し合いの場を持つ 一.自治会活動を認める この前提として、子供達への謝罪がある 園長が、自ら打ち出したものは一つもありません。 Y.子ども達の願いに応えない園長 子供への謝罪の場において、園長が本心から謝っていないことは、誰の目にも明らかでした。子ども達に「謝罪」するその時、園長は笑っていました。ひどい仕打ちをして苦しませた子どもの前で笑っていました。 戻ってきた子ども達は、そんな園長の気持ちを敏感に感じとり、園長の謝罪も全く信用していませんでした。何時、体罰をされるのか、またきっと前のようにおびえて生活する日がくるに決まっているという気持ちが強まっていました。 既に、守られていない約束もあり、子ども達の不信感は募るばかりです。 ある子どもは、園長と話をしたいと、勇気を持って自分の気持ちをぶつけました。その子に対して、「体罰はしない、でも、その原因を作らないでほしい」と言いました。「園長先生に、辞めてもらいたい」と言う子には、「建物を建て替えるお金を貸してくれる人がいる。それは、皆の生活をよくする為だから、最後までやり遂げさせてほしい」と、子どもの気持ちを踏みにじりまともに応えない発言を行っています。 子どもは真剣でした。園長に対して"きっと心から反省してくれる"という期待があったのでしょうが、帰ってきた返事は余計に子供を傷つけるものでした。 お金のことや建物のことを聞いても子どもは嬉しくありません。本当に聞きたかったのは、園長の心でした。 学校へ通いたい一心で戻ってきた子ども達の心に、園長の返事は大きな心配と不安を広げました。園長が何を考えているのか分からず、「今後のことを考えると不安ばかりが大きくなり、大好きな学校だったが、今は学校にも行きたくない」と話す子どももいます。 恩寵園では園長という立場は、子どもに与える影響が大きいのだから、子どもの気持ちを分かってあげてほしい。 Z.私たちの願い 大浜園長は、自らの行動を振り返り謙虚に反省して間違いを修正するという、福祉の職にある人間として重要な事から逃げています。この園長の元では、子ども達が傷ついた心をいやすことはできません。健全な人間形成ができるとは、考えられません。 子ども達への体罰や人権侵害を繰り返した方が、施設の管理運営の責任者であり続けていては、社会的に見ても恩寵園が生まれ変わろうとしているとは理解してもらえません。恩寵園は批判の嵐の過ぎるのを待ち、今回も抜本的改善をしようとしていない受け止められ、新たな批判さえ生れています。社会的に目に見える形で責任を明らかにするためにも園長の辞任は避けられないことです。 体罰を繰り返し、非民主的な運営を続けてきた園長に、私たちは信頼も支持も寄せることはできません。園長が留任することは、子供達の夢と希望を育める恩寵園を築くために全ての職員の力を一つに結集することの阻害要因となり、これからの施設運営の一層の困難と混乱の原因にすらなります。 私たちは、大浜園長の体罰や「指導」に名を借りた虐待行為から、子どもを守ってあげげられなかったこともあり、とても責任を感じています。二度と同じような悲劇を繰り返さないためにも、養護施設の園長としての資質にかける大浜園長の辞任を強く求めるものです。 |