99/03/08
全国児童福祉主管課長会議
平成11年度児童福祉行政指導監査の実施について
(4)入所児童等の適正な処遇等の確保について
児童養護施設等入所児童の処遇については、入所児童の意見を表明する機会が十分確保されているか、体罰等懲戒権が濫用されていないか等人権に配慮した適切な運営が行われるよう指導するとともに、児童の自立支援に向けた取組が一層図られるよう指導されたい。
4 児童養護施設等の入所児童の処遇について
入所児童の適切な処遇の確保については、昨年、児童福祉施設最低基準を改正し、施設長の懲戒に係る権限の濫用を禁止する規定を明確化したところであるが、一部の施設において体罰事件が発生している事例が見られることは誠に遺憾である。入所児童の健全育成と権利擁護の重要性に鑑み、改めて管下施設の運営指導、児童相談所による技術的支援、職員研修の充実等に努めるようお願いしたい。
99/03/08
全国児童福祉主管課長会議会議録
次に、4番目の児童養護施設等の入所児童の処遇についてということでありますけれ
ども、昨年、児童福祉施設最低基準が改正されまして、施設長の懲戒に関する権限の濫
用を禁止する規定が明確化されたところでございます。そしてまた施設内における体罰
については禁止をするというような趣旨の通知も当方から出させていただいているとこ
ろでございます。ただ、こうしたことにもかかわらず、まだごくごく一部の施設でござ
いますが、体罰事件というものが発生しております。これは児童の施設内での処遇、特
に児童の人権なり権利を尊重した処遇を行うということからすれば大変問題なケースで
ございまして、こういった体罰問題にとどまらず、児童養護施設あるいはそのほかの自
立支援施設、情短施設、こういった施設での児童の処遇につきましては、児童の権利条
約にもございますように、児童の権利を最大限尊重した処遇が行われることが必要では
ないかというふうに考えている訳であります。そういった意味で、引き続き管下の各施
設に対しまして、必要な運営指導をお願いしたいと思います。そしてまた児童相談所に
よります技術的な支援や、あるいは施設職員の研修につきましても、ぜひ御配慮を賜り
たいというふうに考えております。
99/01/18
全国厚生部(局)長会議資料
4 児童自立支援対策について
(4)児童養護施設等における適切な処遇の確保について
- 児童養護施設、情緒障害児短期治療施設及び児童自立支援施設における入所児童の処遇に当たっては、個々の児童の態様に応じた適切な処遇が図られることが重要であるが、近年、施設における体罰事件が後を絶たない状況については誠に遺憾であり、平成9年12月8日付児家第28号「児童養護施設等における適切な処遇の確保について」を通知したところである。
施設の指導に当たっては通知文の各事項に留意し、運営指導・指導監査及び児童相談所を通じ、入所児童の適切な処遇の確保を図るとともに、改めて児童処遇の全般的状況の掌握に努められたい。
8 児童福祉施設の整備及び運営について
(2)児童福祉施設の運営について
イ 入所児童の処遇
- 入所児童の適切な処遇の確保については、昨年、児童福祉施設最低基準を改正し、施設長の懲戒に係る権限の濫用を禁止する規定を明確化したところであるが、一部の施設において体罰事件が発生している事例が見られることは誠に遺憾である。入所児童の健全育成と権利擁護の重要性に鑑み、改めて管下施設の運営指導、児童相談所による技術的支援、職員研修の充実等に努めるようお願いしたい。
9 平成10年度における児童福祉行政指導監査の実施について
(1)児童福祉施設関係について
- (3) 児童養護施設等入所児童の処遇については、入所児童の意見を表明する機会が十分に確保されているか、体罰等が行われていないか等人権に配慮した適切な運営が行われるよう指導に努められたい。
98/10/12
(発言7)
- ○ 施設の中の虐待は、ボランティアや職員を通じていろいろと耳に入っているが、大変痛々しい例がある。こういった虐待にどのように対応するのか、仕組みとしては三つの段階があると考えている。
第一に、虐待された者がきちんと訴え出られる、きちんと言える状況がなければならない。ところが、現実にはほとんどものが言えず泣き寝入りになっている。本人も職員も黙っていることが多く、表面化しにくい。アメリカの州の立法では、医師や看護婦に告発義務が課されている。医師や看護婦のみならず、介護福祉士や社会福祉士等一定の範囲の人たちには告発義務を法令で課してしまうくらいの仕組みがないとなかなか進まないのではないか。
第二に、虐待の事実が表に出た場合にどのように取り扱うかコーデイネイトする仕組みが必要となる。オンブズマンや人権擁護委員などの仕組みもそうであるが、特に高齢者の分野についてそういうことに特化した知識を持つコーディネーターをつくる必要がある。
第三に、事実を把握してももっていきどころがないと困る。事実上、選択がきちんとできる仕組みが最終的にないと救えない。 こうした3つの仕組みがそろわないと本当に厳しい状況を改善できないと思う。
98/07
今後の児童の健全育成に関する意見
(5)入所施設における児童の自立支援
・ 児童自立支援施設及び児童養護施設における児童の自立支援のためには、施設内保護にとどまらず、例えば、子どもとのかかわり方等についての両親への助言等の家庭環境の調整が必要である。また、児童が施設を退所した後も、社会的自立や就労継続を支援するための助言・指導等のケア及び保健所や児童相談所等の施設外の資源の活用を積極的に行っていく必要がある。
・ さらに、保護者の疾病等の事由により家庭における養育が困難になった場合に児童を保護する短期入所生活援助事業(ショートステイ事業)等に取り組み、地域における児童の健全育成や子育てを支援していく機能を果たしていくことが必要である。
・ 施設退所後の児童の自立に親自身が支障を来している場合もあり、こうした親の親権との問題等も考慮に入れつつ児童の保護と親の指導等を行っていくことが必要となっている。
・ 被虐待児等処遇に配慮が必要な児童に対しては、心身の回復と健全育成のための専門的支援が必要であることから、情緒障害児短期治療施設の整備促進や児童養護施設における心理療法等の体制強化を図るほか、退所後においても必要に応じて援助していくこと等が望まれる。
98/03/16
全国児童福祉主管課長会議会議録
2点目は入所児童等の適正な処遇等の確保についてであります。最近、社会福祉構造
改革会議分科会等で、監査のあり方について会計経理にとどまらず、サービスの質の向
上につながるような手法について検討する必要があるといったことが議論されておりま
す。児童福祉施設の指導監査につきましては、従来から給食、健康管理、事故防止など
処遇関係においても実施してきていただいているところでございますが、今回の法改正
基準あるいは関係通知等を踏まえていただきまして、児童福祉施設等の入所児童に対す る体罰等懲戒権の乱用に及ぶ指導が行われていないか。児童の意見を表明する機会が確
保されているか。児童の自立支援に向けた取り組みがなされているかといった点につい
ても十分意を用いていただき、適切な処遇の確保をされるよう努めていただきたいと思
います。
98/01/30
中央児童福祉審議会総会 (第97回)議事録
○企画課長
(略)
改正の概要でございますが、2の(1)の「懲戒に係る権限の濫用を禁止する規定の
新設」ということでございます。いろいろ先ほど御説明いたしましたように「児童福祉
施設の長は、入所中の児童に対し懲戒を行うなどの際、身体的苦痛や人格的辱めを与え
る等その権限を濫用してはならないこと」と、こういうことでございます。
児童福祉法 47条に、児童福祉施設の長は監護、懲戒等、必要な措置を講ずることが出来るという規定がございますが、そういった運用の中で一部、新聞で報道されますような過ぎた体罰等が報じられておりますが、そういったことについてのコントロールといいますか、制限を設ける規定ということでございます。
97/12/08
中央児童福祉審議会基本問題部会第18回議事録
その次に1ページ目の一番下の2行でございますが、「体罰及び監護・懲戒権の濫用
禁止規定」という項目が議論の対象としてございました。
児童福祉施設の長の監護・懲戒権は、児童の福祉のために認められているものである
から、もとより児童の身体・精神に苦痛を与える体罰等の行為は禁止されている訳でご
ざいますが、しかしながら、施設入所児童の権利擁護の重要性を考慮すると、児童の権
利条約第3条の趣旨にも照らし、児童の身体・精神に苦痛を与える体罰等の行為と監
護・懲戒権の濫用を禁止する規定を設けること。これを検討すべきではないかという御
意見をいただいております。
その際、こうしたことに関連いたします現存の規定と申し
ますのは、教護院において生活の場所の制限規定のただし書ということで、処遇が過酷
にわたってはならないという規定があるのみでございまして、他の児童福祉施設におい
て当該規定が準用されたり、例によるとされるというようなことがないままに放置され
ておる訳でございます。
そういった点も踏まえて検討が必要だとされております。
また 教護院における児童の生活の場所の制限という規定の維持、これは懲戒権の範囲内なのか、範囲の外に特段の権限を与えているのかという議論が昔からございますが、懲戒権
の範囲に関する議論も整理した上で、この86条自体を見直す必要があるのではないかと
いう点が指摘されておる訳でございます。
97/12/01
第3回 中央児童福祉審議会家庭福祉部会議事録
それから、やや個別具体の話にもなりますが、体罰の禁止と言われる課題に関しまし
て、児童の最善の利益という考え方の延長で、処遇という側面から体罰の禁止が最低基
準の中に盛り込まれるべきではないか。他方、体罰については最低基準で縛りを掛けた
方がいいとは思うが、体罰とは一体何なのかということも明確にしていかなければなら
ない等々、こういうような御発言もあったように思われます。
・・・
○事務局 読み上げさせていただきます。
児童福祉施設最低基準についての意見要旨
(中央児童福祉審議会家庭福祉部会長メモ)
・・・
◇ 児童福祉施設の長の監護・懲戒権は、児童の福祉のために認められているものであ
るから、もとより、児童の身体・精神に苦痛を与える体罰等の行為は禁止されている。
しかし、施設入所児童の権利擁護の重要性を考慮すると、児童の権利条約第3条の趣旨にも照らし、児童の身体・精神に苦痛を与える体罰等の行為と監護・懲戒権の濫用を禁止する規定を設けることを検討すべきではないか。その際には、最低基準第86条(児童の生活の場所の制限)についても検討を加える必要がある。
・・・
○C委員
1ページ目の先ほどの体罰の部分で入っておりますけれども、体罰という形でとらえ
ていった方がいいのかどうかというのは個人的にはちょっと疑問を持っていまして、体罰というとある一定の枠組みがありますので、処遇の中では言葉の暴力といった部分も
非常に入ってくるということを感じます。
字面で取って申し訳ないのですけれども、
「児童の身体・精神に」とありますが、身体的なあるいは心理的な、最近はエモーショ
ナル・アビューズも心理的虐待と一般には訳すようになっていますから、身体的・心理
的に苦痛を与える体罰ではなくて暴力等の行為という形にしていけば、要するに、身体に傷を与えるものと心理的な虐待みたいなものもカバーしていけるのではないかという
感じを個人的には思いますので、もしよろしければ身体的・心理的に苦痛を与える暴力
等の行為は禁止というような形に今後なっていく場合に、そういったような視点で考え
ていただければいいのかなということを思いました。
・・・
○家庭福祉課長
・・・その意味で、例えば、先ほどの
御指摘のありました体罰等に関する問題を最低基準上どのように表記するのかというこ
とについても、本日のC委員の御意見なども踏まえ、よくよく言葉選びをして諮問案を
つくるべきというような流れなのではないかというふうに理解をしております。・・・
○部会長
先ほどの体罰の問題ですけれども、法的に既に使用されている言葉です。体罰という
のは御承知のように、学校教育法では懲戒の内容が身体的性質のものである場合を意味
しており、身体に対する侵害を内容とする懲戒、あるいは被罰者に肉体的苦痛を与える
ような懲戒、これを体罰と言う。これが学校教育では一般化されて使われている。暴力という概念は、法令的にどういうふうに規定されているのか、その辺を更に精査する必要があろうかなと思います。
ただ、御意見ですから、それを一つ検討させていただきた
いと思います。
それから、2番目は身体的・心理的というのは、WHOの健康の概念規定として使用
されている身体的・精神的・社会的なウェルビーイングにみられるように並列する場合
はフィジカル・アンド・メンタルと並べるものですから、この言葉を使わせていただい
たというふうに御理解いただければと思います。 ・・・
○D委員
体罰につきましては、家庭福祉課長がその表記については考えるということでござい
ますし、また、部会長が言われたことも私は全く同感でありますが、暴力という用語は
ちょっと言葉として強過ぎる。特に、この児童福祉施設の長の問題であればなおさらで
す。それならばむしろ刑法に暴行というのがありますけれども、暴行もやはり用語とし
てはちょっと強過ぎるのではないかと思います。その点は部会長が言われたように、学校教育法には懲戒と体罰は使い分けておりますし、これは法律用語としても定着してお
ります。したがって、体罰禁止の方がいいのではないかと思いますが、その点で学校教
育法との用語の整合性という点でも暴力よりも体罰の用語の方がいいのではないかと思
います。表記は考えるということのようでございますので、一言申し上げます。
○C委員
ちょっと今のところで付け加えておけば、どうしても体罰というと身体的なものだけ
の理解がされますけれども、今、虐待等を見ていけば家庭で見ていく場合も身体的なも
のと心理的なものとか、ネグレクトという形で見ていって、これは何も親子だけではな
くて、児童福祉施設においても同じということの考え方というようなものが出てきてい
ますから、そうなってくるとやはり言葉による暴力、いわゆる子どもたちに対して非常
にきつい言葉が使われている場合もある訳で、その辺も非常に心の傷として残っていき
ますね。
ですから、被虐待児等が増えていくということは、要するに身体的な苦痛だけ
ではなくて、心に言わば傷を与えていくというその辺のところもせっかくこれを縛るならば、体もだめだけれども、心も傷つけてはだめですよということをきちんと縛ってい
った方がいいのではないかという趣旨ですので、言葉としてはその辺が実際的に入れば
いい訳で、法的ないい言葉を、D委員が御専門でございますので御教示いただけたらと
いう趣旨でございます。
○D委員
刑法の暴行の中には勿論そういう心理的な精神的な圧迫も入っておりますけれども、
その点はここでは基準ですからより明確に、おっしゃるように心理的に苦痛を与えると
いう表現もあった方がいいのではないかと思います。
・・・
○E委員
私も、今の体罰のところがいわゆる体に直接物理的な被害を与えるというところに一
般的には限定して、そういうふうに受け取られがちなところはやはり危惧するところで
すので、C委員がおっしゃられたところは非常に重要だと思っているんです。
最近、女性に対する暴力というところでこの問題が出てきましたときに、やはり一般
的には身体的、それから、心理的、性的という大体この3つに領域として、それが複合的に表れることが多いというのが、女性の特にドメスティックバイオレンスと言われる領域では多いのですけれども、その考え方は家族内の子どもの虐待に非常に通じるもの
があって、この領域のとらえ方は共通しているように思うんです。
子どもの場合は、既に児童福祉法に虐待という言葉がありますので、それとの関係で
はどうとらえるかということ、特に、施設における虐待の問題は児童福祉法でも勿論考えてはいないので、保護者とかそういうところの専門家以外のところで出てくるものを
想定していると思うのですが、・・・
・・・
○D委員
これは児童福祉施設の長と職員の関係が法的にどうなっているのか。児童福祉施設の
長にこの監護・懲戒権ということが児童福祉法47条に出ておりますが、職員はもちろ
ん親権を行う者ではありませんが、児童福祉施設の長の手足として施設長と同一と考え
ていいかどうかですね。
ただ、職員個人の不法行為は勿論長の不法行為ではありません
ので、その辺をどう考えるのか、学校の校長や教員とは異なる施設の職務の独自性を明
らかにする必要があるように思います。
○E委員
それは確かに非常に矛盾する福祉施設の概念になってしまいますが。
○B委員
今、C委員とE委員の方からの指摘について、私自身は体罰の禁止規定は教護院のと
ころに現在生活の場の制限の中のただし書き規定に載っているので、それを読み変える、教護院においてさえそういう体罰は禁止されているから、全体を縛るんだという解釈
はあるべきでなくはないけれども、やはり総則に体罰禁止規定は載せた方がいいなとい
うふうに思います。
ただ、今おっしゃったようなことで、言語による罰、いわゆる圧迫
とかあいるは心理的、性的というようなそこまで書き込むことが、果してこの最低基準
の中で妥当かどうか。
この辺になってきますと、いろいろな処遇の仕方の問題でまさに
職員の専門性の問題につながると思うので、結局、今、体罰禁止規定を持ったからそれですべて解決するという問題ではないので、今、我々の方としては例えば処遇基準とい
うか、どこの施設に行っても最低限はこういう処遇基準で行えとかあるいはそれに基づ
く評価基準というものをやはりつくっていくということでないと、全部こういう規定で
あるのだからという形では果してどうなのかなというふうに思っておりますし、確か
に、今日の新聞でも何か2〜3日前の新聞にも載っていましたようなことで、体罰の問題がこれだけ社会でさわがれるということについては、やはり現場としてはきちんと襟
を正さなければいけない問題でして、そういうことから最低基準の総則で縛りを掛ける
ということが必要だと思うんです。
E委員の言っていることもよく分かるので、この辺
は場合によってはそれこそ児童虐待防止法案でもつくって一般の親までも含めてすべて
大人がというような形で法規定でもつくらないといけないかなというふうに思うので、
とりあえず体罰の禁止規定だけでとどめておいたらいかがなかというふうに現場では、
とりあえずということでお考えいただければと思います。
○F委員
この体罰の問題を含めて、その次のページの児童の生活の場所の制限という問題、教護院が一番強いように思うのですけれども、体罰はこの前も言いましたように、絶対に
使ってはいけないと私たちは思っておりますし、実際に施設の中でも起こるのは、やは
り経験の浅い本当に素人。それで使ったら絶対に子どもたちとの融和は成り立たない訳
なんです。ですから、分かっている者は絶対に使わないのですけれども、非常に熱心な
先生というような表現をよくしているようですが、熱心の余り、やる訳です。
私たちは、やはり昔から言われているのは、情熱は絶対に子どもたちの前ではだめな
んだと。つい情熱がどうこうしてしまって起こすような実例が多い訳です。・・・
今、体罰の問題、それから、職員の名称が大きく見直されるということになるのです
けれども、私も実際のところは分からないんです。・・・ ただ、体罰ということを規定してそれが
精神的、肉体的な苦痛ということは、確かに皆さんの言っていることは全部分かるし、
理解出来ます。しかし、苦痛を与えるのが本当に悪いことかなと思う時があるんです。
やはり苦痛だっていい結果を与えることがいっぱいあると思うんです。ですから、その
辺りをどういうふうに考えていくか、皆さんでとにかく体罰の問題をもっと検討してい
ただきたいと思います。 ただ、内容です。一概に体罰という言葉だけでやるのではなしに、具体的にどれがい
けないのか、どういうところが例えば、ここで児童の身体・精神に苦痛を与える。本当
に苦痛を与えるのは誰なんだろうか。・・・
・・・
○G委員
私も表現はともかくとして体罰禁止、これは心理的なものも含めて是非盛り込んでい
ただきたいなというふうに思っています。
今の体罰の問題で話題になっていますが、施設に入所をする場合には保護者や児童の
意向を確認して、それに沿った形で入所しなければならないことになっている訳ですから、いずれの機会といいますか、いわゆる入所児童の意向を確認する、児童が何かを訴
えるといったことの機会が保障されているということが、この前提にないといけないの
ではないかというふうに思います。
したがって、今の体罰のことに関して施設現場が大
変だという思いは、今度児童を説得していわゆる同意をして自ら進んで施設の中でいろ
いろ大変なことがあったとしても、自分なりに頑張ろうというように子どもを指導していく側の専門性なり苦労なりも、これまた大変なものかと思いますが、いずれにしまし
ても、児童の意見表明権というものが施設に入所した後も何らかの形で保障されている
ということがポイントになってくるのではないかと、そんなふうに私は思っています。
・・・
○D委員
今、F委員からの御発言を聞いておりまして、現場のことがよく分かりました。学校教育法の定める懲戒と、それから、児童福祉施設の長の懲戒というのは意味が違うと思
います。これは家庭福祉課長も一回そういう御発言をなさっておりましたけれども、学
校教育法の定める懲戒は生徒の処分とか処罰ということだと思うのですけれども、児童
福祉施設の長の行う親権というのは、もともと親権者の親権は親の権利であると同時に
むしろ義務だと言われておりますが、これは子どもの親の親権の延長あるいはその代行
と考えられますと、小さい子どもについて実の親が例えば、粗相したときにおしりを少
したたくとかある程度のことは懲戒の範囲として許されると思うんです。それを越えた
場合は、やはり濫用として、それは許されませんけれども、そういう意味で学校教育法
のいう懲戒と児童福祉施設の長の親権代行とは意味が違うというふうに思います。した
がって、学校教育法は体罰は禁止しておりますが、児童福祉施設の長の場合は、これは
言わば親代わりでありますから、そういう親に代わって許される範囲内のいわゆる懲戒
は許される。そういう意味からいいますと、体罰を禁止することを明文化しますと、非
常にインパクトが強くてよいと思いますが、しかしそれを避けて「懲戒権の濫用は禁止
する」という規定を置くのも、非常に法律規定上はうまい規定の仕方ではないかなとい
うふうに思っております。ある程度抽象化してもよいということを考えております。
○部会長
ありがとうございました。 私がそこで提案いたしました趣旨は、先ほどから議論がありますように、現行の児童
福祉法第47条、児童福祉施設の長はということで、児童福祉の視点に立った懲戒という
ふうに定められている訳ですけれども、児童の権利条約第3条のこともかなり議論され
ました。また、入所児童の権利擁護の重要性、最近の現状等を踏まえて更に最低基準等
で規定をすることについて検討してみたらどうかという積極的な提言であるというふう
にご理解いただければと思います。 そこで、私も体罰等というふうにしましたし、それから、身体・精神はやや相関的な
ものであるので、身体的苦痛と精神的苦痛は統合化されて出てくるのではないかな
等々、一応考えてみた訳で、そのような趣旨であるということをお聞きとめいただき、
先ほどの御議論も十分に作業の中で生かしていただければと思っております。
○家庭福祉課長
体罰の関係の御議論については、今日、部会長のメモを基に大変有意義な御議論をい
ただいてありがたいと思っておるところでございますが、一点ちょっと個別の規定とい
いますか、その関係でございますが、生活の場の制限というのが教護院に規定がある。
以前にもちょっと申し上げたところでございますが、施設からの無断外出をした児童に
ついて職員が説得して戻っていただくということがある訳でございますが、その現場で
必要不可欠な行為とこの最低基準に言う生活の場所の制限規定との関係については、必
ずしも明確ではございません。古い本によれば昭和20年代初め、児童福祉法が出来るこ
ろに一部の施設であった極端な児童閉じ込め事件みたいなものに対応して、そのことを
言う訳ではないというようなことで、この規定が解釈された時代もあったようでござい
ますし、また、無断外出に対する対応についての法理論ということについても、戦後50
年の中で若干変動をしてきているのではないかというような点も気づく訳でございまし
て、それら歴史的な使命としての規定の意味合いと、今日的な規定の意味合いと両方を
にらみながら適切にその扱いを検討しろという言葉を判断していかなければいけないの
ではないかという点が1点ございます。
それはとりもなおさず現場の職員の方々にとってこの最低基準というものは、別に毎
日それを掲げ読むような性質のものではないと思いますけれども、最低基準が何らか変
動したときに現場はどのような処遇をしたらいいのかということを、私ども行政庁とし
てはセットで考えていかなければいけないという性質のものでございますので、法理論
的にはこうだということだけではなく、十分に本日の御意見を体して、そして、この部
会長メモの持っている意味合いというものを理解させていただきたいと、このように理解しております。
97/11/25
中央児童福祉審議会保育部会議事録
○C委員
私はそこまで考えておりませんでしたけれども、例えば今回の保育所の制度改正で保
育所なりその他の児童福祉施設すべてに地域の子育て家庭支援といったところの努力義
務が規定されたわけですので、児童福祉施設最低基準の総則のところに子育て家庭支援
というようなことを盛り込んでいくことも出来るのではないか。
あるいは、例えば職員 の守秘義務の問題ですとか、あるいは国会で議論になった体罰禁止ですとか、それから 保育の理念をもう少し詳しく書くというような形で、財源的にはいろいろ問題があるか
もしれませんけれども、財源の問題だけではない、それ以外の問題についてさらに向上
させるような、そんな議論も出来ればいいなというふうに思っているものですから、も
しそういう機会が与えられれば議論をしてみたいというふうに思っています。
97/10/27
中央児童福祉審議会家庭福祉部会議事録
○F委員
・・・ それから、今回の改正で体罰が非常に問題になったんですけど、教護院の中での体罰
という話もよく聞く話でございまして、体罰というのは、教護さんたちの指導の中で、
痛みを持って教えるというのは実際にはどうなんでしょうか。認めていらっしゃるのか
そのへんは。
○全国教護院協議会
体罰をしたらいけないということは言っています。認めてはいないですけどね。
97/10/06
中央児童福祉審議会家庭福祉部会議事録
この最低基準に関しましては、法改正に伴って必要な施設の名称等にかかわる規定の
整理や、児童自立支援施設における職名の取扱い、並びに国会審議の中で御議論をいた
だいた施設内での体罰の禁止、養護施設等の居室の在り方等に関する事項、更には規制
緩和の観点に立った母子指導員の男子への適用拡大、あるいは地方分権推進の観点に立
った児童自立支援施設の職員に関する必置規制の在り方などについても御審議をいただ
ければと存じております。
97/09/19
全国児童福祉主管課長会議会議録
もう1点ございます。養護施設等の体罰事件等の防止に関連してでございます。これ
も監査の着眼点で新たな項目として、9年度に「児童の意見を表明する機会が十分確保
されているか」という追加をいたしております。今後の入所児童の処遇の指導監査等に
際し御留意をいただきたいと思います。
97/06/23
全国児童福祉主管課長会議会議録
また、国会での審議過程におきまして、施設内における児童の体罰等についても、論議
が行われたところでありますが、いやしくも、児童の福祉を目的とする施設におきまして
こうした体罰等があってはならないことは当然のことでありますので、皆様方におかれま
しても、管下の施設に対する適切な指導、あるいは施設の職員の資質向上、日ごろからの
児童相談所等との密接な連携によりまして、こういったことが生じないように御尽力をお
願い申し上げる次第でございます。
|